コンコン。
らしば探偵事務所のドアが叩かれた。
「どうぞ・・・」
所長の(前所長は行方不明)橘薫(本物)は
静かにノックに答えた。
同時に探偵助手、ヤッタ君が元気よく入室し、口を開いた。
「先生、先日の偽者さんのプロファイリングはあまり当たってなかった(偽者さん談)そうですよ」
橘は頷いた。
掲示板の書き込みだけでは手がかりが少なすぎる。
あたり外れはつきものだった.......。(continued....)
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「では、社会人か、又は大卒〜中卒で今プー太郎、もしくは 「せ、先生暴走しすぎです!」 「・・・とまあ、ここまでやってみて何だけど、やっぱり推理材料が少なすぎてなー」
らしば探偵社
「そうか。 しかし、当たっている部分もあるはずだ。 それは何だと思う?」
「暇人だというのと、妙に早起き(夜更かし)なのは、
掲示板の書き込み内容・時刻から確定です」
「そう。 では残りの部分だ」
「偽者さんの現在の職業と性別ですね」
「職業は、中学生〜大学生ではないということになるな」
「・・・小学生ですか?」
「私のストライクゾーンから外れている。 問題外だ」
「そういう問題ではないような」
専門学校(大学院)在学中、このいずれかだろう。
既婚者という線はまずありえない(あってほしくない)。」
「社会人はどうでしょう?」
「社会人にしては時間がありすぎる」
「すると、大卒〜中卒で今プー太郎、もしくは専門学校(大学院)在学中ですか」
「そうなるな。 しかし、これ以上の絞込みは困難だ」
「そうですね」
「次に、性別だが・・・」
「女、の可能性があると?」
「どうもそうらしい。 余り考えたくないのだが」
「では、ここまででまとめてみますと、偽者の方は
『暇人で、妙に早起き(夜更かし)。 大卒〜中卒で今プー太郎
、
もしくは専門学校(大学院)在学中の女の子。 ついでに彼氏なし』と、
こうなりますね」
「そうなるな・・・」
「・・・」
「そんなダメ人間の書き込みはいらん!!!」
「せ、先生もダメ人間なんだから・・・」
「更に言えば、眼鏡かコンタクトレンズ着用者で、
仮に女性であるとすれば乳はでかくなく、身長は155〜165cmの間、
体型はゲルググのような感じであると推測できる」
「あ、あの、それは偏見で・・・しかもセクハラです」
「パソコンいじってるような人は目がいいはずないし、
暇人なら彼氏がいないだろうし、いないなら何か問題があるはずで
それは外見及び体型にあると考えられるからだ!」
「偽者さん怒るよー」
「性格がアレでも美人かつナイスバディなら男は寄ってくる!
逆は有り得ないのだ!(特に若いうちは)」
「ま、そういうわけで偽者さんはあんまり幸せじゃないですね」
「そこまで言っちゃダメ!」
「こんなページ見てる暇があったら別のことしなさい」
「せっかくのお客様なんです、大事にしましょうよ」
「史上初、お客様に厳しいホームページ!」
「そんなページは要らない!」
「ついでに掲示板じゃなくてゲストブックに書き込めってば!」
「お客様の自由ですよ!」
「ログ取れないんだよ、掲示板の方は!」
「あ、それは深刻な問題だ」
「だからゲストブックに書き込みなさい」
「どうかよろしくお願いしますね」
「これが一番言いたかったんだよな」
「長い前フリでしたね。 ついでにいうとこの文章読んだら
もう書き込んでくれないかも」
「レスつけなくてもよくなるから楽でいいなあ・・・」
「先生、アンタって人は・・・」
「不確定な部分が多いですね」
「社会人ではない、と推理したけど、朝5時、夕方6時、夜中の12時、朝7時
とかなり書き込み時刻にばらつきがあり、時間帯を考えれば
社会人でも別におかしくはないんだよな」
「時間の使い方及び推定睡眠時間が厳しくなりますけど。
あと、生活パターンが全く掴めません」
「ついでに性別は、文章の書き方がアレなんで、ちょっとハイテンションな
女性の方だとは思うんですが、意外といい年で学生なんていう年齢じゃ
ない可能性もあるんだな、これが」
「ネカマ・ネナベの可能性も否定しきれませんしね」
「そう。 その辺が結構難しい。 ひょっとしたら暇を持て余した主婦の
可能性もあるんだ」
「人妻・・・」
「いい響きだ・・・」
「いや、ダメでしょう、それは」
「まあ、既に高見盛のような立派な主婦の方かも知れませんので、
艶っぽい話にはなりえますまい」
「こうやって正体を想像しているのが一番面白いわけですね」
「そういうことです」
「そのうちMSNのメッセンジャーチャットにでもご招待しましょう」
「本人が来る気あるかなあ・・・」
「もしありましたらご連絡ください。 メールで」
橘薫(現所長)編著「偽者いじり」より(原文のまま)
写真提供 しげっち(千葉繁) 「I LOVE IWANUMA」